【動画で分かる】位置情報測位で使うRFIDパッシブ型は、どんな動作をするのか検証してみた!動画9本!

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位置情報測位に用いられる技術は目的や状況、求める精度などによってさまざまな選択肢が考えられます。その一つがRFIDパッシブ型の活用です。

お客さまとお話をさせていただく中で、

  • RFIDパッシブ型は実際にどんな動作をするのか
  • 多くの機器や資材がある工場や倉庫の環境が影響したりしないのか
  • 広い範囲をカバーすることが可能なのか

など、実際にご利用いただく環境を想定してのご質問もたくさんいただきます。

そこで、実際にRFIDパッシブ型の動作検証をやってみました! 動画付きで解説していますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

今回の動作検証における前提条件

今回の動作検証では、当社がご提供する「動線見える化ツール」における方式を前提とし、基本的には移動体(作業者を想定した人)がリーダーを持ち、設置されているRFIDタグをどのように読んでいくのかを検証しています。

リーダーが読み取る内容は、各RFIDタグに格納されているIDになります。動画においては、作業者の動作の様子に合わせて、アプリで確認できる読み取り内容を表示しています。RFIDタグは、通常の紙(シール)タイプのものを使用しています。

1.RFIDタグ読み取り基本動作検証 ~移動速度の違いによる比較~

工場や倉庫でお使いいただく場合にも、移動体が人であったり、フォークリフトであったり、その速度もさまざまです。移動体の速度が違うことによって、読み取りにどのような違いが出るのか見ていきます。

RFIDリーダー(DOTR-920Ji)を右側のベルトループに装着したポーチに入れて起動し、RFIDタグを同じくらいの高さに置いて検証しています。

検証1:作業者が歩行した場合

RFIDタグの前を通過したタイミングで読み取り回数がピークを迎えることが分かります。

検証2:作業者が走行した場合

小走りでの検証です。歩行時よりも作業者の速度が速く、RFIDタグを読み取れる機会が少ないため、読み取り回数が減っていることが分かります。

検証3:作業者が自転車で走行した場合

小走りよりも速い速度を再現するために自転車で通過してみました。小走りの時よりもさらに読み取ることができる時間が短くなり、読み取り回数が減っていることが分かります。

読み取り動作検証まとめ

移動体の速度によって、RFIDタグを読み取る回数に差が出てくることが分かりました。速度が速いと読み取れないわけではありませんが、RFIDリーダーの出力強度の調整などで確実に読み込んでいくという工夫も必要になるケースもありそうですね。

2.リーダーの出力強度・リーダー種類別の読み取りの比較

続いての検証は、RFIDリーダーの出力強度やRFIDリーダーの種類でどのような違いがあるかについてです。RFIDリーダーは、DOTR-920JiとSR7を比較しています。

左:DOTR-920Ji、右:SR7

RFIDリーダーは、右側のベルトループに装着したポーチに入れて起動し、RFIDタグを同じくらいの高さに置いて検証しています。

リーダーの出力強度が24dBmのときよりも30dBmのときの方が、読み取りやすいことが分かります。また、リーダー種類ごとの読み取り結果としては、DOTRよりもSR7の方が比較的読み取りやすいという結果となりました。これはアンテナ部分の大きさ等が影響しているのではないかと考えています。

バッテリーの大きさはDOTR-920Jiの方が大きいため、SR7よりも長い時間使用することが可能ですが、SR7はモバイルバッテリーで給電しながら使用できるという特長があります。用途によって使い分けることはできるのではないでしょうか。

3.複数タグの読み取り検証

次に複数のRFIDタグを一定間隔で設置した場合に、どのように読み取られるのかを検証します。RFIDリーダー(DOTR-920Ji)を右側のベルトループに装着したポーチに入れて起動し、RFIDタグを同じくらいの高さに置いて検証しています。

RFIDタグの中間では、二つのIDを同時に読み取っていることが分かります。実際に工場や倉庫などでお使いいただく場合には、起こりうるケースになります。

当社の提供する「動線見える化ツール」では、電波強度や読み取り回数などを加味した独自のアルゴリズムによって、より近いと推定したRFIDタグを選択し位置情報として可視化しています。

4.RFIDタグの設置環境の違いによる読み取り比較

続いての検証は、RFIDタグの設置環境による読み取り方の違いをみてみます。RFIDタグの特性をご確認いただけます。

RFIDは電波の往復によって情報を読み取るため、水分や金属が周辺にあると読み取りに影響を与えます。

紙で遮っても、RFIDタグは読み取れていることが分かります。対して、金属が近くにある場合は、金属に反射することで読み取りが乱れ、予期せぬ動作をすることがあります。動画では、スチール缶で囲っている状態で読み取っていますが、金属面とRFIDタグを近づけると読み取りが止まっています。

人体(水分が多く含まれるもの)が近くにあり場合、金属のような反射による予期せぬ動作はしませんが、完全にRFIDタグを覆うと読み取りができなくなることが分かります。

5.RFIDリーダーの取り付け位置による読み取り比較

RFIDリーダーの位置はタグの読み取りにどのような影響を与えるのでしょうか。

リーダーをベルトループの前面や、胸ポケットにしまって読み取りを実施した場合、RFIDタグに向かって歩いている状態では読み取りができており、RFIDタグを通り過ぎると人体が電波を遮って読み取り状態が悪くなっていることが分かります。

6.RFIDタグの種類による読み取り比較

RFIDタグには通常のペーパータイプのものの他に、金属に取り付けても読み取ることができるタグや、衣服のラベル部分に取り付けるランドリータグなど、さまざまな種類があります。

今回の動画は、ペーパータグと金属用タグを比較してみました。

金属の缶に直接取り付けた場合、ペーパータイプのRFIDタグは読み取っていないのに対し、金属用タグでは読み取りができていることが分かります。

7.実験:こんな場合はどうなんだろう?を試してみました

実験1:スチール缶を使って、RFIDの指向性を高められないか

結果として、RFIDタグの前を通過した瞬間のみの読み取りができており、指向性が高くなっていることが分かります。

ただし、タグを缶の奥に設置すると全く読まなくなったり、逆に少し手前にするだけでも通常時と同じように読めてしまったりと、細かな調整が必要になります。

実際にご利用いただく環境でこの状況を作り維持していくためには、相当な手間もかかることから、実際の適用は難しいと判断しています。

実験2:床に貼り付けたタグは読み取れるのか

RFIDリーダーをベルトループのポーチに、RFIDタグは床に直接貼り付けて実験してみました。

結果として、想定していたよりも読み取りができることが分かりました。状況によっては活用できる可能性を感じました。

ただし、工場では床面に金属の梁(はり)が入っている場所での読み取り状況は異なる可能性もありますので、実際に試行する際は注意が必要です。

また、タグを床に設置する場合には、足やカートなどで何度も踏んだ時にタグが壊れたり剝がれたりする危険性にも配慮する必要があります。床に貼る専用タグもあるのですが、移動体の重量や動作によっては、床に貼ったタグが簡単に破損してしまうといったケースも起こりえます。

実験3:空中につるしたタグは読み取れるのか

RFIDタグを棚などに設置するのではなく、空中に上からつるした場合にはどうなるのか実験してみました。

RFIDは、RFIDタグが揺れていたり、逆にRFIDリーダーが揺れていたりする場合に、読み取り頻度が増す傾向があります。

今回の動画では、RFIDタグがほとんど動いていないため、通常と同程度の読み取り状態になりました。実際には、モノが動いたり風が通ったりする場所においては、RFIDが揺れることで通常よりも読み取り状態が良くなる場合があります。状況によっては、タグを置かずにつるすというのも一つの選択肢になるのではないでしょうか。

まとめ

RFIDの基本動作や特性についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。今後も当社での実験や検証の様子をご紹介していきます。こんなケースではどうなんだろう?というリクエストにもお応えしていきたいと思っています。

パッシブ型RFIDは、当社の提供する「動線見える化ツール」にも採用しています。当社ツールでどのように使っているのかは、こちらの記事に掲載していますので、ぜひご覧ください。

導入に関してご不安な点なども、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

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