「動線見える化ツール」がロケーターにRFIDパッシブ型を採用している理由とは?
位置情報測定は、目的や状況に応じて、さまざまな技術で実現可能です。こうした中で、なぜ当社が提供する「動線見える化ツール」ではRFIDパッシブ型を採用しているのか。
これまで多くのお客さまからご質問をいただきました。本ブログでは、RFIDパッシブ型の仕組みや開発当時のエピソードなども交えつつ、まとめてみたいと思います。
なお、位置情報測定技術のまとめは、下記の記事にてご覧いただけます。
当社ブログ内で記載している「ロケーター」とは、配置することによって位置情報を示すものを示します。
RFIDパッシブ型の仕組みをおさらい
RFIDとは「Radio Frequency IDentification」の略称です。
RFIDパッシブ型はバッテリーを持ちません。形状としては、ものなどに貼り付けるシールタイプ(タグと呼ばれる)やカードタイプが存在します。メモリを内蔵し、情報の読み込み・書き込みが可能です。
どうやってタグの情報を読んでいるの?RFIDリーダー(RFIDリーダライタ)の役割
バッテリーを持たないタグに埋められた情報にアクセスするために、RFIDリーダー(RFIDリーダーライタ)が発する電波が必要になります。タグはこの電波を受信することで電流が流れ、タグに格納されたID情報を発信できるようになります。
そして、タグから発信されたID情報をリーダーが受信し、読み取り完了!というわけです。
当社でのRFIDパッシブ型採用の決め手
さまざまな位置情報の測定技術がある中、動線見える化ツールで「RFIDパッシブ型」の採用の決め手となったのは、RFIDパッシブ型の特長を使うことによってお客さまからのご要望にお応えできると判断できたことです。
前身の仕組みではRFIDアクティブ型を使っていた!?お客さまの声が検討のきっかけに
当社が動線見える化ツールの前身としてご提供していたものは、RFIDアクティブ型を使っていました。RFIDアクティブ型を移動体が持ち、電波を受信する機器をロケーターとして設置する形式です。
ご想像のとおり、電波の受信機器の設置に手間もコストもかかり、お客さまから「もっと簡単に!」というお声を頂戴しました。
具体的には
- 導入の手間を最小限にしたい
- コストを抑えたい
このようなお声をいただいたことが、現在の「動線見える化ツール」につながります。
ロケーター設置の手間とコスト削減のためにRFIDパッシブ型に注目
ご要望にお応えすべく技術と方式の変更の検討を実施する中で、RFIDパッシブ型はバッテリーを持たない点に注目しました。
お客さまからいただいたご要望は、ロケーターに関連する部分が大きく、またロケーターの数は一定以上必要なことに変わりはありません。そのため、ロケーターに電源が不要な状況をつくるということで解決できないかと考えたのです。
当時の私たちが考えていた仕組みとは逆の発想にたどりつくことになります。
少し余談ですが、Beaconをロケーターにして検証も行いました。RFIDよりも誤読が多く、RFIDの方がより実際の動きに近いという結果になりました。RFIDの方式では指向性があるため、Beaconなどに比べて誤読が少ないということですね。
RFIDパッシブ型の採用で生まれるメリット多数! 新発想「動線見える化ツール」の誕生
RFIDパッシブ型にはバッテリーがありませんし、電源や電池が不要です。また、1枚あたりのコストが非常に安価です。ロケーターとしてRFIDパッシブ型を採用することによって、導入の手間は最小限に、また初期コストも抑えることが可能です。
また、RFIDパッシブ型をロケーターに使うことによるカイゼン活動おけるメリットも大きいと考えています。
例えば
- 簡単に測定エリアの変更、拡張が可能
- タグ設置作業自体が簡単で、現場の方でも実践可能(カイゼン活動の内製化)
といった点です。
一方で、移動体が持つものは、タグやカードサイズのものに比べると大きい「RFIDリーダー」になります。リーダーの大きさを懸念されるケースもございますが、工場や倉庫などにおける特定の人数(台数)、明確な目的を持った動線可視化を想定した場合、「簡単に、柔軟に、自分たちでいつでも!」といった点で有効に活用いただける仕組みをご提供したいと考えています。
当社が提供する「動線見える化ツール」の概要
当社の提供する「動線見える化ツール」の仕組みを簡単に整理しておきます。お客さまからよく「普通は逆じゃないの?」と、ご質問をいただきます。
<動線見える化ツールの仕組み>
- タグが各所に設置されていてロケーターの役割を果たす
- RFIDリーダーを移動体が持つ
詳細は、https://dousenmieruka.com/tool-structure/をご覧ください。
「動線見える化ツール」をお使いのお客さまからの声
現在もお客さまからのご要望などをお聞きすることも多く、個別のカスタマイズや製品ロードマップの検討を実施しています。その中でも当社の方式に関連するお声を以下にご紹介します。
「タグは一度貼ればそのままで良いのがラク」
使用するRFIDタグには電池や電源が要らないため、ロケーター側のメンテナンスが不要という点をご評価いただくケースが非常に多くございます。
「自分たちで設置できるのが良い」
RFIDタグの貼り方(物理的に見えるという観点)によって調整が可能なため、お客さまご自身での対応が可能です。そのため、難易度の高いキャリブレーション(ロケーターの調整)が不要ということをご評価いただくケースも多くございます。
RFIFパッシブ型よりも高精度な手法を導入されていたお客さまも、キャリブレーションの手間から当社にご相談をいただくケースも増加しています。
「広範囲を安価に測定できるのが良い」
お客さまによってはロケーターを1000カ所以上に設置するような広いエリアで動線を計測されるケースもございます。この場合、ロケーターに安価なRFIDパッシブタグを採用することのコストメリットは非常に大きく、ご評価いただいています。
簡単な仕組みだからこそ、活用の幅もひろがります
当社の「動線見える化ツール」は特性上、センチメートル級の精度が必要な場合や屋外での測定、多数の同時測定が必要なケースなどは対応が難しいケースがございます。しかしながら、簡単な仕組みだからこそ活用の幅がひろがっていく部分もあるのではないかと考えています。
多拠点での測定ツールとしての活用
改善チームなど取りまとめの部門でご購入いただき、各拠点での測定に活用いただくケースも増えています。
その他導入事例は、こちらからご覧ください。
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